『北京映画学院夢物語 〜美少女たちのサバイバルレース〜』

数年前に見たNHKのドキュメンタリーが再放送されていた。『北京映画学院夢物語 〜美少女たちのサバイバルレース〜』。
初回放送は2001年9月だったようだが、そんなに以前だったわりには、かなり印象深く見覚えがあった。北京電影学院。現在世界中で活躍する中国出身の映画人のほとんどはこの学院の出身者である。NHKでの今回の放送は数回目かの再放送だと思うが、わたしもついまた見入ってしまった。中国随一の映画界への登竜門である北京電影学院への合格を目指して夢を追う少年少女たちの青春の風景が撮影されたのは北京オリンピック前である。1年1年劇的に変貌し続ける中国であるから、若者たちも最近の人たちはこの番組に登場する10年前の少年少女とはもっと違うのかもしれない。でも、夢を追い続けるピュアな若者の光と影を映したこの番組は時を越えても何か感ずるものがあった。

映画評論家の佐藤忠男氏が「この番組に出てくる中国の若者は、自分をどんどんアピールすることや俳優らしい役目をちゃんと演じるところがとてもいい。その姿勢が日本人の若者以上」というようなコメントをされていたがいかにも納得である。また、番組の最後にトークゲストとして、制作を担当した番組担当プロデューサー張雲暉さんが登場した。ここで進行役のアナウンサーが張さんに、「ところでこの番組に登場した若者たちのその後が気になるのですが・・・」と、まさに視聴者なら誰しも聞いてみたいところを探ってくれた。その質問に対して張さんは、ドキュメンタリー中のメイン登場者の中で唯一合格した鄭さんという女性の現在をサクッと紹介した。そして、番組の中で電影学院を目指す若者たちの目標的存在のアイドル、ビッキー・チャオが現在さらに大スターになったこと、若者たちが北京で宿泊していた激安宿泊所のたった一台のテレビで観ていた娯楽番組放送局が大きなメディアになったことのみに触れた。むむ・・なんか、ちがう。その答え・・・。と私が違和感を持った瞬間にまたアナウンサーさんが聞いてくれた。「それで、あの、番組中の試験に不合格だった若者たちの後日談とかは・・・?」そう、そう、ソレよ。こういう番組の場合、やはり、日本人って一番聞きたいのは、「番組中では不合格だったが翌年見事に合格!その後、彼女は中国では知らない人がいないくらいの名舞踊家として活躍中!」とか「彼は俳優への道は諦めたが、今はIT実業界の大物!」とかっていう下克上的展開。私は思わず身を乗り出して、張さんの言葉を待った。多分、番組見ていた人はみんなそうだったと思う。そして、張さん、「あー、他の人たちは残念ですが連絡も取れません」。 アナ「そうなんですか・・・」 張「はい。ある意味、青春残酷物語って感じですね」。そんなオチまでつけてくれて、なんだか残念な展開の再放送・・・。
ああ、青春の夢儚し・・・。誰か、もっと粘って映画とかに出ていてほしかったなあ・・・。