『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 』

fai22009-07-08


水曜はレディースディ。見たい映画が、そろそろ終わってしまいそうなので、2本見てきた。トラン・アン・ユンの『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 』と、ウディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』。
 『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 』に関しては内容の情報は全く持たず、監督と出演者と、舞台が香港、という情報のみで見に行った。

 いやあ、なかなか鮮烈だった。最初のジョシュ・ハートネットが倒錯男みたいなのに噛み付かれるシーンなんて、なんじゃ、コレ・・・?監督ぅ〜!。。って感じだったのだけど、探偵になったジョシュが、ある大金持ちから、アジアにいる息子のシタオ(キムタク)を探し出して連れ戻してくれ、と依頼され、香港へ行くあたりからだんだん引き込まれ、面白くなった。香港の刑事役ショーン・ユーが出てきた時は、まだ物語の先行きがわからなかったのだけど、なんかちょっと胸をなでおろした感じでした。このへんから、映画にもへんな違和感はなくなり、トラン・アン・ユン監督独特の亜熱帯の温度や湿度が感じられ、しかも、ちょっとおかしいキリスト信者ふうの青年役サム・リーが出てきたころから、ああ、なるほど〜、これは、イエスの話なんかなあ〜と、気がつき、それによって、登場人物や物語の展開にもだんだん行き先が見え、しかも全てに合点がいきました。ラスト近くでシタオが「ファーザー!」なんて叫ぶのも、すごく意味深です。とはいえ、アジア人の監督がアジアを舞台に描いているので、白人監督が描くキリスト教を題材にした映画より、はるかにキリストの存在や意味が分かりやすい感じがしました。みんなに見て欲しいけど、暴力シーンというよりも、血が流れたり、エグいシーンがかなり多いので、そういうのがお好きでない方には全くオススメできないのが非常に残念です。

http://icome.gyao.jp/


  『アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン』のあと、『それでも恋するバルセロナ』を見たのは正解でした。お話は親友同士の二人のアメリカ人女性がバカンスにバルセロナへ旅し、そこで出会ったスペイン人の画家とそれぞれがロマンチックな感じになるのですが、そこへちょっと破滅型の彼の元妻が現れて・・・って感じの軽いロマンチック・コメディ。しかも、やっぱり、ウディ・アレンの世界(笑)。でも、主演のクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)とヴィッキー(レベッカ・ホール)、そしてイッチャッてる元妻マリア・エレナ役(ペネロペ・クルス)が、かなり魅力的で、視覚的にはバルセロナの風景とともに楽しめた。みんなの恋の対象フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)は、私の好みとは正反対なので、まあ、それはおいとくとして(笑)。登場人物全員が、画家とかカメラマンとか学者とかのおおむね成功した芸術家で、生活臭もなく、毎日、好きなことや恋をして、あーだ、こーだ、やりながら、結局、みんなもとの鞘って感じの軽さ。だから、もしわざわざこの映画だけを見に行っていたとしたら、ま、みなさん、どーぞ、お好きに。。って感じで、共感や深い感動など何もなかったのだけど、先に見た映画アイ・カムでかなり疲れていたので、ある意味癒されました(笑)。普通なら耳につきそうな、あれこれ登場人物の動向を説明してくれるナレーションのオッサンの声さえも結構ありがたかったくらい。まったく、酸性度が強い雨にさらされた身体をアルカリ・シャワーで中和されたような具合。結果的にはどちらも(私には)そう重い作品ではないので、サクッと2本見るのに良い組み合わせではありました。


それでも恋するバルセロナ | アスミック・エース