『ザ・マジックアワー』

  三谷幸喜の新作なので一応見てきた。映画は期待を裏切ることはなく、まあ十分面白かった。三谷監督が愛したアメリカ映画や市川監督へのオマージュもあるかもだけど、意外にこれは映画より舞台のほうがよかったかもなあ・・・。
  毎日毎日しつこいくらいのテレビでの過大宣伝。役者は西田敏行佐藤浩市が主演している時点で85パーセント成功して当たり前。いまや三谷組とも言える役者さんもいたるところに勢ぞろい。キーワードである「マジックアワー」と言う言葉は、宣伝番組で出たがり三谷監督が喋り捲っているので、半分ネタバレしている感もあり新鮮味に欠けるし、それ以上の意味も、なんかとってつけたようで・・・。はっきり言って、宣伝しすぎは逆効果です。私はある友人によく人の説明のしかたを気をつけるように注意されたものであるが、それは、自分が面識有る人を、全く知らない人に「どんな人」か説明する時に、「あの娘、可愛いよ〜」とか「美人よ」とか言うと、相手はそういう先入観ができてしまうから、いざ当人に会ったとき、「それほど美人か?」とか「そんなに可愛いか?」とか思ってしまうらしいのです。「過大な評価を先に植えつけられると、あとは失望しかないから、あまりそういうことは言わないほうがいい」というのだ。確かにその通りだと思って、今は気をつけているのだが、映画や書物の宣伝番組というのもこれに似たようなものであるかも。あまり「すごい、すごい」って言われると、「そうかなぁ・・・」とアマノジャクは思ってしまうのだ。何事も宣伝や前ふりは控えめに限る。『キサラギ』や『運命じゃない人』、『アフター・スクール』だって、宣伝なんて全くなしで見て、だからこそ、「わーい!面白いもの見つけた〜!」と、なんだか得した気分になり、キラキラと嬉しかったもの。
  三谷作品で言えば、私はまだ『有頂天ホテル』や『ラヂオの時間』のシチュエーションのほうが好きだったかも。やっぱり、この方は、基本、「閉鎖された空間での群像劇」が真骨頂。