『恋する妊婦』

fai22008-02-26

  シアターコクーンで公演中の『恋する妊婦』を見た。岩松了作。
  主演、小泉今日子風間杜夫大衆演劇一座の座長(風間)とその妻(キョンキョン)を中心に劇団の人間同士の赤裸々なぶつかり合いが描かれている。一座から若い男女が駆け落ち、副座長(大森南朋)とその妻やその妹、後輩役者との絡み、新入りの学生や近所に住む追っかけの娘、出入りの八百屋(荒川良々)などなど、いろいろな人が、一見普通の日常の中、男女の愛情を中心にさまざまな絡み合いをしている。岩松了のコメディタッチではあるが、テーマ的にそんなに笑える演劇ではない。前回見た岩松さんの『シェイクスピアソナタ』もやはり役者一座の人間模様だった。両舞台とも幕切れがわりとさりげなくて、ものすごく重い謎を残して終幕するわけでもなければ、ありきたりな物語の終わり方でもなく、三谷幸喜ほどすごくすっきりしないところが、「演劇」らしくて岩松了さんの作品はほのかに好きです。