『鐵三角』

fai22007-11-09

 ずいぶん間の抜けた頃に回顧しておりますが、今回の香港映画祭について。
 皮切りは10月23日の夕方『鐵三角 TRIANGLE』でした。当日は18時の開場前にオーチャードホール前でレッドカーペット入場があるとSさんからメイルをいただき、17時半にオーチャドに到着。でも、すでに会場入り口には人が溢れ、背伸びしても前は見えない状況。仕方なく、ゲストが車でやってきたら降車するだろう場所の道路をはさんで対面の歩道にSさんと陣取り、ルイスやニコラスの到着を今か今かと待ちました。18時頃、白色超ロングのものすごいリムジンがやってきて、その車から降り立ったのは3監督、ルイスの鐵三角チーム。首を長くして待っていたファンも一気に騒然として、その場は歓声とフラッシュの渦。オーチャードの前の車道に降りた面々は、会館の入り口まで歩き、そこにおかれたボードに順番にサイン。プレス用の写真撮影とほんのちょっとのファンサービスをして、すぐ入場。私たちは30メートルくらい離れていたので、後姿とほんの小さくしか見えなかったけど、臨場感には包まれていました。意外なことに、鐵三角チームは「ルイス〜〜!」とか「古仔〜〜!」なんて声はあまり響かず、「ジョニーー〜〜!!」という叫び声が大きかった。私が立つ場所の近くにいた女子からも「ジョニーー!」という声援があがっていて、物見遊山で見物に来ていたオーチャード近所の住民の方が不思議そうに、「ジョ、ジョニー??まさか、ジョニー・デップじゃないですよね?」なんて言っていた(笑)。そのあと今度は同型の黒いリムジンがやってきて、『男兒本色』主演のニコラス・ツェーショーン・ユージェイシー・チャンたちが到着。香港若手スターの登場にファンの歓声はピークに。しかし、開会の時間も迫っていたせいか、彼らは比較的あっけなく入場。私たちは日本でのこういう仕切りには最近慣れっこなので、「あんまり見えなかったけど、ニコもジェイシーも可愛かったね〜〜☆」なんて楽しげに盛り上がっていたのだけど、前出のご近所さん見物者によると、「こんなにみんな待ってたのに、アレだけですか!?トム・クルーズの時なんて、こっち側まで人が溢れていたけど、トムはすごいサービスでしたよ。こっち側の人にまで挨拶に来たし、来場していた人は全員、トムをアップで見られたんじゃないかしら。今の人たちも、もっとサービスすればいいのに。」うーむ。深い・・・。もしかして、最近いちばんスターと隔離されているのはアジア・スター・ファンなのか???もしそうだとしたら、辛いご時勢だぜぃ、全く。

 ま、そのような華やかなレッド・カーペットを経て、香港映画祭は賑々しく幕を開けたわけでございます。開会に際して、香港特別行政区政府駐東京経済貿易代表部や香港政府観光局のお偉いさんの挨拶や式次第があったわけですが、これは仕方がないこととはいえ、長くてちょっと辟易した。こういう時は、KYだよ、KY。
 つづいて、鐵三角のツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーら3監督と主演のルイス・クーが舞台に登場。ひとしきり、話を聞いた後、彼らをそのまま舞台の端に立たせたまま、『男兒本色』組が登場。この時の舞台上は、さすがに華やか極まりなかった。なにしろ、香港映画界の大監督明星そろい踏み!こうなると、香港政府さまさま!少々長いご口上も謹んでご拝受いたさねば、ですね。はい。
 それにしても、男兒組が舞台メインでインタビュー受けている時の鐡三角組の監督3人+ワンかわい仔ちゃんの構図に、少なからずの場内のファンが心くすぐられたに違いない。松山人にしか分からない例えだけど、3監督のいでたちは皆スーツでお揃いなのだけど、このスーツの色っていうのがまるで坊ちゃん団子で、なんとか三兄弟みたいで、カワイイったらない☆(失礼!)ルイスもいい感じでその3人と絡んでいて、かなり美味しい立会いを見せてもらい、違った意味でトキメキ@香港でした。

 そんな感じで、舞台上での香港人たちの成り行きは大変面白かった。映画に関する質問も興味深く楽しいものでしたが、Q&Aの詳細はいろいろなサイトやブログですでに紹介済みだろうから割愛するとして、面白かったのは、観光局主催なら必ず行われる、「各スター、香港のオススメ・スポット」の質問が、今回は「冬の香港のおススメは?」という少し幅の狭い質問だった。質問を聞いたとたん、3監督はいっせいに口々に「ダービンロー!ダービンロー!」と唱え始め(ダービンローとは香港人が使う口語で火鍋(鍋料理)のこと)、彼らの答えは、「○○監督の家でダービンロー!」なんて感じ(爆)。質問の答えが最初からそんな感じなので、司会の方が「すみません、私たち一般の者が行ける所を紹介してください」とふざける子供を諭す保母さんのようなツッコミ。それでも、男兒組も、「残念ながら僕は香港のことはあまり知らないんです」と答えた台湾育ちのジェイシーの言葉をついでニコが、「ジェイシーのパパ(言わずと知れたジャッキー・チェン)の豪華マンション!」なんて、香港観光協会のCMみたいに「♪香港に行けばジャッキーに会えるんだ〜☆」的発言で、尚おふざけモード。もう、この子ら、可愛いのやら、手に負えないのやら・・・(爆)。そういえば、大昔、家輝さんが来日時、やはり香港観光協会主催のイベントで香港オススメ観光地を質問された時、「それは、私の家です。ここからは香港の美しい海が見渡せて最高の景観です!」なんておっしゃったことがあったなあ・・・。あのねー、どんなにいい景色でもねーー、私らは行けないんだよ〜〜っ!ってなもんです。

 3監督がバトンリレーのようにして製作したという映画は、なるほど、期待通り興味深かった。始まりは、やはりツイ・ハークの世界。どうなるの?話はどこまで広がっていくの?誰が善人で誰が悪者なの?彼等は何を求めているの?まだ謎が多いところで、続いてリンゴ・ラムのパート。ケイさんからリンゴ監督のパートのアクションは嘉樂兄ちゃんが動作監督していると聞いていたので、ばっちりカーアクションを堪能。兄ちゃんの姿は画面には映らないけれど、明らかにカーアクションは錢嘉樂率いる錢家班、香港ドラフトチームの呉海堂さんたちの活躍がぶっちぎっていました。ホウイエ〜〜!しかし、ストーリー自体ははっきり言って、それほど広がらない。しかも、ラストのジョニー・トーのパートにきて、彼色がめっぽう濃くなる。ジョニー・トー映画はもちろん私も好きだけど、『鐵三角』はこれでもか!っていうくらいべったりジョニー色。ネタバレだけど、もうブラくるんだあたりでオチも見えた。とはいえ、あれだけとっちらかった話を収拾するには、ジョニーさんのようにあくが強く力づくの監督が出てきて抑えて成功なのでしょう。でも、個人的にこういう映画の作り方はとてもゲーム感覚があって面白いです。3話オムニバスは結構あるけれど、1話リレー方式っていうのは珍しい。お互いの信頼関係と友好関係の上に成り立つ構成で、香港映画ファンとしてはとても美味しい一本だった。



 オーチャードホール、レッドカーペット、ゲスト到着前。



 鐵三角のゲスト4名。遠くて、見えないかな・・・
 向かって左から、ジョニー・トー、ルイス・クー、ツイ・ハーク、リンゴ・ラム