アジアの風 オープニング作品『長恨歌』

監督;關錦鵬(スタンリー・クワン)主演;鄭秀文(サミー・チェン)、梁家輝(レオン・カーファイ)、胡軍(フー・ジュン)、呉彦祖ダニエル・ウー)、鄭希怡(ユミコ・チェン) 

ストーリー

 1940年代後半、物語は上海弄堂(10年位前まで上海の半分ぐらいの建物は弄堂とよばれ、一般上海市民の生活の場だった)に住む女学生、王蒅瑤(鄭秀文)が、親友蒋麗莉に連れられ映画の撮影所を見に行ったところから始まる。そこで、王蒅瑤は、撮影所で働く親友の従兄弟、さらに、カメラマンの程先生(梁家輝)と知り合う。
 程先生の強い推薦と、親友蒋麗莉の励ましで出場したミス上海コンテストで、王蒅瑤は準ミスに選ばれ、彼女の女としての運命はそこから大きく開花し始める。1948年、王蒅瑤は地位も権力もある国民党の高官、李主任(胡軍)に見初められる。二人は同棲し、李主任は夜毎ダンスホールに王蒅瑤を伴い、二人の仲は上海社交界の誰しもが知るところとなる。しかし、時代の改変の波は確実に訪れ、二人の甘美な生活にも終焉がやってくる。李主任との別離に身をよじって悲傷する王蒅瑤を静かに見守ることしかできない程先生。実は彼も王蒅瑤を一目見たときから彼女の美しさに心奪われている男の一人だった。
 新しい時代が訪れ、全ての中国人が変革の運命にさらされていく中、王蒅瑤は裕福な家の若者、康明遜(呉彦祖)と出会う。二人はすぐに愛し合うようになるが、それを快く思わない康明遜の親は彼をアメリカに遠ざける。その時すでに康明遜の子供を身ごもっていた王蒅瑤は、子供を私生児にしないために、長患いの親戚の男と偽りの結婚写真を程先生の写真館で撮る。因果な彼女の運命に、やるせない苦渋を感じながらも、黙ってカメラのシャッターを押す程先生。その後、王蒅瑤は女の子を産み、薇薇と名づける。数年後には必ず彼女の元に帰ると約束した康明遜はその後サンフランシスコで客死する。
 1968年、離婚した程先生は王蒅瑤と薇薇のもとを頻繁に訪れるようになる。二人の関係は更に一歩発展するかのようにも思えたが、結局、文化大革命の影響のもと、程先生は雲南省の小さな農村へ労働に行かねばならなかった。
 また長い年月がゆっくりと過ぎていった。8年後、王蒅瑤の娘、薇薇も美しい娘に成長していた。上海へ戻った程先生のもとへ農村労働の際に知り合った老克臘という若者が転がり込む。程先生は薇薇と同年輩の青年老克臘を王蒅瑤母娘に紹介するが、あろうことか、老克臘は王蒅瑤と関係を持つことに。また彼は薇薇の友人、張永紅とも親密な関係だった・・・・。