三岔口

 「三岔口」郭富城(アーロン・クォック)、鄭伊健(イーキン・チェン)、呉彦祖ダニエル・ウー)主演、李心潔(アンジェリカ・リー)、曾志偉(エリック・ツァン)、羅嘉良(ロー・ガーリョン)共演。 脚本は「ラヴソング(甜蜜蜜)」などの岸西(アイヴィー・ホー)による。監督は「香港国際警察 New Police Story」の陳木勝 (ベニー・チャン)監督。
 このメンバーを見て期待しないはずがない。わくわくしながら円盤をDVDに入れた。
 
 ストーリーは、10年前に恋人が失踪してから投げやりな生活を送っているCIDの刑事シュン(アーロン・クォック)。ある日、彼が護送してきたマネーロンダリング事件の証人が、空港で殺し屋(ダニエル・ウー)に射殺される。殺害を依頼した黒幕のイウ(ロー・ガーリョン)は凍結された資産を取り戻すが、息子の饒夏が行方不明になる。一方、捜査の過程でイウの担当弁護士トウ(イーキン・チェン)と出会ったシュンは、彼の妻(アンジェリカ・リー)が失踪した恋人にそっくりな容貌であることを知り、彼女と夫の身辺を調べ始める。

 冒頭の暗い雨のシーン、飛行機の機内とすぐ物語に引き込まれ一気に見れた。
 スリリングなストーリー展開とアクションシーンはなかなか見ごたえはあるが、全体的に大風呂敷を広げた感じは否めず。何しろたくさんの登場人物1人づつの感情を描き出そうとしているのはわかるが、全員があまりにもいろいろな背景や過去や性を背負った人間ばかりなので、たった2時間弱で描ききれるはずがない。たとえば、アーロンは昔の彼女を思いつづけていて、今でも見る女性全てが誰も彼も彼女に見える。イウは黒社会とも関係が有り、息子に関する事件は今回だけでもなさそう、今ではポーカーフェイスで人を殺すダニエルにも殺し屋なりの葛藤も有り・・・と、人物の中身が豊富すぎる・・・結局、全てが散漫で、広げた風呂敷は無造作に片付けられてしまった。

 タイトルは京劇の立ち回り物の代表作『三岔口』から命名されているようだが、郭富城(アーロン・クォック)、呉彦祖ダニエル・ウー)、鄭伊健(イーキン・チェン)らが、暗闇で立ち回るのを暗示しているのでもなさそうなので、やはり3人が出会い交差するところという意味合いなのか。
 
 また、このDVDにも副音声として陳木勝監督の評談がはいっていた。これは「旺角黒夜」のDVDでイー・タンシンの声が出てきたときと同じようにびっくりしたが面白かった。これからこの方式が流行るのか。