梁家輝のエッセイより〜「多謝上帝」

家輝さまは時々天国のお話をしてくれます。比喩がウイットに富んでいて私はこういうネタが結構好きです。


梁家輝のエッセイ〜3月5日の香港文匯報より
「多謝上帝」〜神に感謝を〜

 ある人が夢の中で天国を遊覧した。友好的なガイドの天使は彼を大きな事務室に案内した。とても明るい広間の中には数百人の天使が満座し、各自忙しく仕事に専念している。電話に出ている者、データ入力する者、タイプ印刷する者、またある者はあちこち走り書簡ファイルを回している。

 ガイドの天使は紹介して言う:「ここは受付室です。全天候昼夜休みなく運営しています。全世界のあらゆる神に対する祈祷、信徒であるかどうかに関わらず、すべてまずここへ送り届けられ、従業員によって検査、分類され、更に『お上』の処理を仰ぎます」

 その人は見学しながら、大勢の天使のてきぱきとした仕事の速さに大変驚嘆する。しかし、もっと彼にとって印象深かったのは、各種の祈祷が天国に沸き起こるスピードで、それは大変多く、しかも大変速い。

 それから、彼らはゆっくりと歩いて別の事務室に向う。ここは、受付室ほどは大きくないが、明るく塵一つない。働いている天使はみな春風に吹かれているように楽しそうである。案内の天使は喜んで説明する:「ここは返事を送る部屋です。『お上』が許可した祈祷を、関連部門に送って実行してもらう。受け取ることができる人はみな幸せなのです!」

 喜びの雰囲気に影響されて、その人は興味津々に第三の事務室を見学することを求めた。ガイドの天使は少し気乗りしない様子だったが、やはり彼と向かった。第三の事務室は不思議なほど小さく、ただ一人の天使が当直している。また、ほとんどあまり事務もないようで、彼らが中へ入って行った時、その唯一の天使はちょうどあくびをしていた。ガイドの天使は少しばつが悪そうに言う:「ここは確認室です。もっぱら祝福を受けた人たちが送り返してきた確認メッセージを処理して分類整理しています。」

 このがらんとした情況を見て、その人は不思議そうに聞いた:「確認の返事を送り返すのはどのようにすればいいのですか?難しいのですか?」仕事をしている天使は肩をすくめて言う:「とても簡単です。ただ祈祷のときに、誠心誠意に神に感謝する一言を言うだけでいいのです」案内の天使は続けて言う:「残念なことに、このようなことをなさる方はあまり多くないようです」みな、静かになった。

 宗教を信仰している人であるにしろないにしろ、危難の時にはおそらくみな天に救いを求める。しかし、心に手を当てて自問してみて下さい。事が過ぎ状況も変わった後に、どのくらいの人が、恩返しの気持ちを抱いて、かつてあなたのために黙々と働いてくれた天使に感謝しているだろうか。