「醉臥美人膝」〜梁家輝のエッセイより

映画の中ではバンバンお笑いキャラはってる家輝さんですが、わたくし、時々、「この人に冗談は通じないかも・・・」と思うことがあるのです。たとえば、こんなエッセイを読んだ時です。

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「醉臥美人膝」文匯報:12月21日

日本の明治時代の有名な宰相、伊藤博文の詩に「酔うて枕す美人の膝、醒めては握る天下の権」というのがある。とても豪気かつ風流で、まさに大丈夫の気概にあふれ、男性諸氏これを読んで心動かされない者はいないだろう。しかしながら、天下の権は誰でもが握れるわけでもなく、また誰もが握りたいわけでもないが、幸いなことに、美人の膝に枕することは誰でもまず問題なくできるのだ。

これは筆者の口からでまかせではない。美人の膝はいまや市場に出回っている。日本のあるギフト会社が「ひと膝」約1万円で今年のクリスマスプレンゼント用品として売り出したと報じられているのだ。独特な設計と巧みな構想により、すでに1000セット売り上げている。商品の名称は「ひざまくら」。実際この枕の造形は特殊で、人間と等身大に作られ、膝を曲げて坐った女性はミニスカートをはいているが、上半身はない。顧客(おそらくほとんど男性)は、柔らかい膝の上に枕することができる効能がある。ちょっと見るとデザインはほとんど本物そっくり、ただ美人の上半身がないのが玉にキズな気もする。

生産会社のスポークスマンによると、独身男性はこのような商品が好きだという。なぜなら彼らはこのような膝枕に心の癒しを感じるから。聞くところによると、日本の男性は小さいときからの習慣で頭を母親の膝において耳そうじをしてもらう。彼は言わないが、(あるいは言ったけれど記者が書かなかったのか)男性が更に枕にしたいものは、おそらく恋人の膝だろう。しかし昨今の女性の権力は強く、このような優しい女性の在庫は限られていて貴重な存在だ。これもまた「ひざまくら」が話題になる原因だろう。

補充資料としてスポークスマンが記者に述べているのは、この会社は少し前に「うでまくら」という商品を売り出した。名前から意が察せられるが、それは男性の腕の形をした枕で、女性客に男性の腕枕の上で眠っている感覚を与えるもので、「ひざまくら」と同工異曲である。ただ男性の腕は女性の膝にはほとんど及びもつかず、当時はそれほど評判にならなかった。

考えてみると現代人は本当に哀れである。自分を抱く腕や、その上で泣くことができる広い胸、あるいは心地よい膝、それらは全てお金を使って代替品を買うしかない。しかし、腕や胸のなかで感じるあの安心感や、膝の上に枕したときのあの暖かさや優しさは、どうしてお金で買うことができようか。

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たしかに私も雑誌で見たことがあるし、東急ハンズにあったかもです、コレ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00073JAZQ/249-7679740-2909956

けったいなものがあるなあ〜とは思いましたが、冗談グッズと癒しグッズの中間商品ですね。しかし、お母さんの膝で耳そうじしてもらったのは女子も同じですがねぇ。男子のほうがより香しい思い出として残るのですね。

「うでまくら」より「ひざまくら」が売れたのは、たとえばパーテイとかでも、やはり女子に男の手をプレゼントするより、男子に女の子の膝をプレゼントするほうが、盛り上るし、受けるからでしょう。

その上、恋人同士がハンズでじゃれあっているとしても、
女子:「私がいないときはこの膝を代わりしてね」
男子:「うん!ありがとう〜!」そして、使う・・・っていうのはアリかな、と思うのですが

男子:「俺がいないときのためにこの腕を買おうか?」
女子:「いや〜ん、そんなのいらないから、アレ(ブランド品)買って〜〜」

ってことで、
やはり男子のほうが、比較浪漫かと思われます。