「ジャスミンの花開く」「笑の大学」

今日は今回の映画祭の私的一番クライマックスの日だった。12時からの「ジャスミンの花開く」に続いて「大丈夫」。そのあと、夜は「笑の大学」。映画はしご3本立ては腰痛もちの身にはかなりハード。終わったときには、もう、へろへろだった。連日の睡眠不足でやばいかと思っていたが、どの作品も見ごたえがあり大変面白かったのでうたた寝のひとつもしなかった。
ジャスミンの花開く」はチャン・ツー・イーが3世代の女性を演じている。久し振りに見たジョアン・チェンはその母親役だが彼女も40代〜老婦人までを見事に演じていてさすがの大ベテラン。エピソードは茉・莉・花(←ジャスミンの中国名)の3部構成で、それはそれぞれ主人公の3世代の3人の女性の名前。最初は上海電影の黄金時代。この導入部分の映像はすばらしく美しく一気に物語の世界に引き込まれる。監督は新人だが長くチャン・イーモウ監督のもとでカメラを担当していた人らしい。なるほど、大納得。2部は文革時代。3部は現代。それぞれのパートの時代背景は茉・莉・花が生まれた写真館の変遷に映し出され、3人のキャラの違いは各パートの主体となる色のちがいで描かれている。3人ともとても強い女性であり、歴史は繰り返される、というか、各部同じようなエピソードがあり、ちょっと重くなりそうなところもあるが、あっという間の2時間10分。ラストは花開く感じでふわっと明るくてなかなか後味もいい。チャン・ツー・イーの演技もとっても自然で私はいままで見た彼女の演技の中で一番素敵だと思った。中国では来年の旧正月映画だという。日本の公開はもうすこし先になるかな。

笑の大学」は三谷幸喜の代表的舞台劇を今回星護監督が映画化。今日は星監督、三谷さん、役所広司さんと稲垣吾郎ちゃんが舞台挨拶に登場。星さんは思った以上に面白い人だった。一応国際映画祭なので、ゲストのインタビューの言葉を短めに切って英訳が入る。最初に紹介された星監督はその間がちょっと取りにくかったようだったが、2番目に紹介された三谷さんはさっそくその英訳をコントにして、いきなり「レディース アンド ジェントルマン!」と英語で挨拶をはじめて客席を沸かせた。客席からは「ミタニーー!」なんて声もあがりさすがの人気者!吾郎ちゃんファンの方も多かっただろうに、意外にも嬌声を発する人は全くおらず、とても雰囲気が良かった。
映画は当然面白かったです。文句なし。ぜひ見てください!三谷幸喜の心意気が伝わります。検閲官役の役所さんの演技はもちろん、喜劇作家役の吾郎ちゃんも頑張っていました。舞台は戦時下、喜劇作家が上演認可のはんこをもらうために、検閲官に言われるままに脚本を改編していき、その話の展開とともに、喜劇に全く興味のなかった検閲官が少しづつ人間的に変わっていき・・・そしてラストでは会場からすすり泣きが聞こえていました。舞台の気迫や臨場感がスクリーンでも十分再現されているので、会場の人はきっと実演を見たような気持ちだったのかもしれません。

疲れたけどいい気分で帰途についたのだが、途中、丸の内線の線路内に機動隊が出動する事件が発生したとかで地下鉄がストップ。帰ったころには足がむくんでへろへろだった。3本立てを見るにはやはりもう体力の限界だった。