楊逸『ワンちゃん』

 『時が滲む朝』で中国国籍で初めて第139回芥川賞を受賞した楊逸(ヤンイー)さんの前作で文學界新人賞受賞作の『ワンちゃん』を読んだ。働き者のワンちゃんは、中国でアパレル業を成功させながらも、金をせびってばかりくる元夫から逃れるため、日本に嫁に来る。四国の田舎で、無口な旦那と自分を「ワンちゃん」と呼んで気に入ってくれている姑に仕えながら、農村の男たちを中国に連れて行き、集団見合いをさせる稼業に打ち込んでいる。人生の悲哀と喜びを感じさせるユーモア溢れる一篇。凝った表現や技巧はないが、人生の漂泊感ややるせなさ、純愛の切なさがとても清清しく書かれていて、私はとても好きだった。

ワンちゃん

ワンちゃん


傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』
今は暴露本など書いてちょっと落ちぶれた感ありのショーケンこと萩原健一と、『相棒』で以前以上に人気の高い水谷豊が主演で、当時大人気を博したテレビドラマ『傷だらけの天使』。今でも、思い出のドラマ特集などの番組では必ずと言っていいほどこのドラマのタイトルやラストシーンは取り上げられている。そのラストシーンから30余年・・・木暮修はなんとホームレスとして生きていた!矢作俊彦さんによる小説でアニキが完全復活!木暮の新たな戦いに、思った以上にハマって一気読みしてしまった。かなりエンターテイメント性の高い一冊。ああ、かつてのショーケンファンとしてはこの小説の映像化を是が非でも期待。神様、お願い、ショーケンをこのまま終わらせないで・・・!



傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを

傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを