『相棒』

  このところ、福島でも東京でも松山でも、どこにいても毎日『相棒』の再放送をやっていた。日本全国テレ朝系の放送局は総力上げて劇場版の宣伝に必死こいていた。そのかいあってか、レディースディのせいもあってか、昼間の回もかなりの観客動員数。同時にかかっている『骨盤を矯正してスリムになろう』よりは客の年齢層がやや高め。もう一つ公開中の『少林少女』よりは確実に客が多かった。
  映画の内容は公式サイトに詳細が出ているので省略。すべて現実のイベントや事件を題材になかなかスケールの大きな話になっていはいるのだが、それだけに犯人も想像しやすく、ちょっと大風呂敷を広げた感アリ。犯人を追及する上でのどんでん返しや犯人が張ったトラップや謎かけを右京さんがいつも通りいともなくほどいていくわけだが、今風にインターネットのSASを繰ったかと思えば、トラディショナルな英国貴族的知識で犯人のチェスの棋譜を解読していく。しかし、そこから東京ビッグシティマラソンにいきなり飛ぶあたりは、ちょっと映画版を意識した派手な演出のように思った。木村佳乃扮する一国会議員が元首相や外務省を相手にパフォーマンスするのも、なんだか朝日的で苦笑した。
  テレビ版『相棒』は脚本も良く練られていて、冷静沈着で知的な杉下右京とおちゃめで行動的な亀山薫コンビの活躍はとても楽しい。脇役もみなキャラが立っていて面白い。シリーズもずいぶん回を重ねてきたので、薫のマンションの住人がたびたび事件を起こしたり、毎回、小料理屋花の里の女将や薫のパートナーの思いつきや機転で事件の核心が見えたりするのもなんだかご都合主義で可笑しい。まあ、そういうのは、推理ものには必然だから良いとして、テレビ版で毎回イラつくのが、女将が箸で用意された料理をつまんで皿にのせているだけのシーン。これが映画版ではなくてホッとした(笑)。なんだか、厭味な感想ばかり書いてしまいましたが、映画は十分面白かったです。ヒマな人は、ぜひ。

相棒-劇場版IV-