『Sweet Rain 死神の精度』

fai22008-04-11

  金城武が死神・・・?原作を読んでないのでどんな話だろうと興味深々だった。彼は、選ばれた人間に近づき、その人が死に値するか、まだ生きるべきなのかを数日間で判定する。すでにその人生でなすべきことを成した人には死を「実行」、そうでない人には死を「見送り」の決定を死神はすることができる。物語は3つのエピソードからなっていて、まず最初の話は一人の地味なOL(小西真奈美)を判定することから始まる。死神と言ってもかなりファンタジックな妖精のような役回りなので、金城武にはよく似合う。しかも、毎回エピソードごとに髪型やファッションなどを変えるので、金城君のファンには一粒で何度も美味しい絵だ。でも、どんなに風貌が変わっても雰囲気はどこまでも金城武(笑)。
  彼が仕事をするのは雨の日と限られているので、画面はずっと雨が降っている。彼とコンビの黒い犬が話す会話は字幕のみ。小西真奈美の部分のエピソードは、コールセンターで働くOLがクレーム男に付きまとわれているという話で、静かなイメージ。実はこのクレーマーの正体は死神がよく口にする「ミュージック!」に関係があったりする。2番目のエピソードで死神に判定されるのはヤクザ(光石研)。ここでは、かなり切迫した情況のヤクザとその子分のチンピラ(石田卓也)に反し、常に飄々としている死神。死神仲間の村上淳とのやり取りもコミカル。第3のエピソードは海辺の美容院で働く老女(富司純子)の判定。富司さんのしゃべり方や雰囲気なんかはなんだか昭和の香りプンプンなのに、いきなりロボットなんて出てくるからここは・・・?そう、死神は時空を縦横無尽に駆けめぐって仕事をしていたようです。というわけで、勘のいい人は2番目のエピソードあたりで、じっくり吟味型の人は最後のエピソードで、物語の連鎖に気がつくことになるでしょう。あと、死神の精度っていうくらいだから、もう少しその制度や死神さん自身のプロフィールとか知りたかったな。
  蛇足だが、映画の中のある一箇所で思わず吹き出してしまったシーンがあったのだけど、恐ろしいことに、今いくら考えても思い出せない。死神の千葉(金城武)はいつの時代の人なのか、ボキャブラリーが少なくて、たとえばOLから「ナンパするのね」と言われ、「いえいえ、これは船ではないから難破はしませんよ!」なんて真面目に答える。この程度のダジャレみたいなコミカルな会話もけっこう多かったので、吹き出した場面もかなりどーでもいいことだったのだろうとは思うが。ああ、でも気持ち悪い。自分が何に反応して笑ったのか思い出せないなんて・・・、一体私のツボはなんだったのかしら・・?もし思い出せたらまた書きます。