『誘拐ゲーム』

fai22007-12-02

 中国映画祭で初見の作品、『誘拐ゲーム』([糸邦]架)を見た。羅志良(ロー・チーリョン)監督、主演は、台湾の劉若英(レネ・リュウ)と林嘉欣(カリーナ・ラム)。実際にあった誘拐事件が元ネタらしいが、刑事と誘拐犯の心理サスペンス。
 婉真(レネ)と智叔(張兆輝/チョン・シウファイ)は刑事役。二人は、暁陽(カリーナ)の弟の誘拐事件を担当したが、その際、犯人逮捕時に暁陽の弟を事故で死なせてしまう。それから3年後。過去の事件を乗り越え、カリーナとレネたちは親しくしていたのだが、ある日、大富豪(郭濤/グオ・タオ)の家で誘拐事件が起こる。事件の担当として婉真と智叔が赴くが、実際にさらわれていたのは、大富豪の家の息子と間違われた婉真の息子だった。まるで『天国と地獄』のような展開。息子を取り戻そうとするレネと夫役の張智霖(チョン・チーラム)、病気の夫との未来を拠り所とするカリーナたちの壮絶な戦いが始まる。
  『誘拐ゲーム』というタイトルは的を得ているものの、ゲームとつくのはかなり恐い。最初は単純な金銭目的の誘拐が情況によってどんどん事件がエスカレートしていく。やられたらやりかえす目には目をではないけれど、大切なものを奪われた人間の悲哀や憎悪のパワーは計り知れず、その人格さえも変えてしまう。ラストシーン、もしレネが3年前のカリーナと同じ情況になっていたら・・・。ゲームというタイトルはそんな空恐ろしいことまで連想させる。