『雲水謡』

fai22007-10-30

  中国映画週間のオープニング上映は『雲水謡』。この作品は先日の中国金鶏賞でも8部門でノミネートされており、結果、最佳故事片、最佳導演、最佳録音賞の3部門で受賞。尹力(イン・リー)監督、陳坤(チェン・クン)、徐若萱(ビビアン・スー)、李冰冰(リー・ビンビン)主演。
  1940年代の台湾。医大生の青年陳秋水(陳坤)が名家の家庭教師に雇われたことからその家の娘・王碧雲(ビビアン・スー)と恋に落ちる。時節柄、徐々に左翼思想に傾く陳秋水は台湾政府にマークされ、ついには中国大陸へ逃亡することになる。秋水と碧雲はお互いに心を通じ合わせながらも別れることに。固く再会を約束した二人だったが、大陸の政情に巻き込まれる秋水と、彼を待ち、探し続ける碧雲、二人の動乱の人生が描かれる。
  映画は、背景や情況の画像も美しいし、3人の役者の演技も秀逸。ビビアンやリー・ビンビンのキャラのせいか、重く激しい歴史の流れの中でも麗しく健気に生きる二人の女性の生き方が、悲しいけれど哀れではなく、とても爽やか。題材には文革や秘境への下放も扱われているが、鑑賞後も、重苦しくなく、とても新鮮な気持ちにさせてくれる、佳作だった。