『Blue Bottle 蒼蝿』

fai22007-10-19

 工藤さんが参加している東京倶楽部の2007年公演『Blue Bottle 蒼蝿』を11日に見に行った。公演会場は新木場の1stRINGというプロレスの会場。都内ではないが、新木場駅からは至近距離なので便利なところだった。

 私が東京倶楽部の公演を拝見するようになったのは、家輝さんも出演した中国映画『太行山上』に主演されていた工藤俊作さんのサイトやブログ汝の隣人のブログを愛せよ | LOVELOGでのご案内を拝見できるようになったことがきっかけだったのだが、こういうご縁に会って思うことは、本当に世の中には自分が全く知らなかった素晴らしい活動をされている輝く方々がいらっしゃるということだ。東京倶楽部の公演はまさにそういう輝きと情熱に満ち溢れていた。

 今回の公演『Blue Bottle 蒼蝿』は、藤原健一さん作、菅田俊さん演出。
 ある在日の町で育ったボクサーを父に持つ青年、勝利の物語。彼は、幼い頃に試合で敗れた父に連れられて母の実家がある在日韓国人たちが住む街へやってくる。父はそのまま行き倒れのような壮絶な死をとげ、勝利はそこで母の兄家族とともに成長し、長じた後ヤクザと身をやつすことになる安武とは兄弟同然に育つ。父が果たせなかったボクサーの王者として成功を目指す勝利、そして弟勝利の夢を応援しながらも、ヤクザ社会の不条理な掟に金縛りになっていく安武。このふたりを軸に、見守る家族や同胞、また愛する女性などが交錯しストーリーは展開する。
 
 2時間強の舞台演出だったが、ほんの少しのすきも無く、素晴らしい展開だった。ボクサーが主人公なので、格闘シーンももちろんあり、リンク上での公演は迫力満点、動と静のバランスも疲れない按配でとてもよかった。勝利青年役の山口祥行さん、老年役の菅田俊さんのファイトプレーやシャドーボクシングのシーンはとても印象的。一緒に見に行ったYちゃんもミスティちゃんも香港映画好きなので、帰り道3人で山口祥行さん=アンディ@ファイターズ・ブルースだよねー、っと盛り上がった。勝利の恋人うさぎの若い頃役の櫻りんさんや老婆役の愛染恭子さんの演技も感動的で美しかった。彼らを取り囲む同胞、関根大学さんや町田政則さんたちの演技に緩みは無く圧巻。ヤクザ親分梅津役の宮本大誠さんのハリウッド映画をパロッたコミカルな演技には笑いがこぼれた。お目当ての工藤さんの出演を今か今かと待っていた私、いきなり熱っぽい選挙演説をしながら出てきた政治家、権藤の役の工藤さんにはびっくらこきましたが、テンションあげてすごく盛り上がり、楽しい演出だった。後の話の展開で彼はヤクザとつるむ悪徳政治家だと知り、幕後のそのワルさ加減を一人想像して悶絶してしまった(笑)。それにしても、女優を目指しながら、悪の餌食になる竹子さんだったか(名前、記憶が間違ってるかも)が、飛び降りるシーンはかなり恐かった。彼女、まっさかさまに頭から落ちていたけど、大丈夫だったのか今でも心配。本当に体張った熱の入った演技に脱帽、彼女には是非香港映画界に殴りこんでほしいくらい。そのほかの出演者の方々も全て熱演好演で、本当に2時間たっぷり楽しませていただきました。
 
 この東京倶楽部の公演は、工藤さんや菅田さんが師と仰ぐ菅原文太さんの愛息、菅原加織さんの追悼のために行っていたそうで、7回忌を迎えた今年の公演がひと区切り、ラストとなるそうですが、ぜひともまた彼らのお芝居を見せていただきたいファンの一人として、今後のご活躍を心から期待しています。