展覧会はしご

fai22007-01-07

  旧年11月以降は映画祭やいろいろな優先事項があって、なかなか行けなかった展覧会方面、1月中旬の閉幕直前の今日この頃やっと見に行くことができた。
  まず、目黒庭園美術館で開催中の「アール・デコ・ジュエリー展」を鑑賞に。
  20世紀初頭のセレブが愛用した宝飾品や宝飾デザインナー、シャルル・ジャコーのデザイン画などが展示されている中、同時代のフランスのファッション雑誌「ガゼット・デュ・ポン・トン」などに掲載されたポショワール(ステンシル版画技法)もたくさん展示されていた。ジョルジュ・ルパープやジョルジュ・バルピエ、シャルル・マルタンなどのカラーイラストがとても美しく、最先端の女性風俗の華やかさにウットリ。こういうポショワールをニューヨークや上海、日本など世界中のモダンガールが見て、きっとあんな映画やこんな映画に出てくるような女性文化を作り上げたのでしょうね。
 ちなみにアール・デコ・ジュエリー展は2007年1月20日から広島の海の見える杜美術館で、3月6日から京都国立近代美術館で開催予定です。

  http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/jewlley/index.html

  その後、渋谷東BUNKAMURAの「スーパーエッシャー展」へ。

  スーパーエッシャー展 −ある特異な版画家の軌跡

 連休中ということもありここはすでにスゴイ列。チケットを持っていても入館待ちの行列の最後尾に並ばなければならなかった。「待ち時間45分」と看板に書かれていたが、もう会期が迫っていることもあり、今日がラストチャンスと思って並んだのだが、思いのほか早く入館できた。待つこと15分あまり。しかし、中に入ってからがこれまたスゴイ人、人、人。MCエッシャー、さすがに若者に大人気。でも、なるべく人が溜まっていないところを選んでゆっくり鑑賞したが、エッシャー氏のものすごい仕事量に、もうただただ驚かされるばかり。彼はもともと建築家になりたかったそうだが、美術家というよりも幾何学学者的な感性から生まれたような作品が多く、有名なだまし絵をはじめ平面における正則分割図がたくさん展示されていた。怪獣博士の異名を持つ編集者大伴昌司さんによって企画編集され、昭和時代の少年マガジンに掲載された「ふしぎ特捜隊」というコーナーに使われたエッシャーの絵も少年マガジン誌とともに展示されていた。個人的には初期のエッシャーがイタリアで描いたアマルフィ海岸の景色やアトラニの眺めのグランデーションのきいた木版画がとても好きだった。1961年の作品「滝」も興味深く、つい見入ってしまう。細い線を克明に刻み込み、白と黒だけで表現する世界、もう溜息しか出ない。

 

エッシャーに魅せられた男たち 一枚の絵が人生を変えた (知恵の森文庫)

エッシャーに魅せられた男たち 一枚の絵が人生を変えた (知恵の森文庫)