スリー・タイムズ 最好的時光

 今日は東京フィルメックスのオープニンング。台湾ホウ・シャオシェン監督(侯孝賢)の「スリー・タイムズ/最好的時光」を見てきた。
 この作品は3部構成で、まず第1話は1966年の高雄、第2話は1911年の遊郭、そしてラストは現代の台北が舞台。3話を通して主演のスー・チーチャン・チェンほか同じ俳優によって演じられる。1話目は「恋愛の夢」と題され、ビリヤード場のスコア係の娘と兵役を前にした若者の淡い恋の話。ホウ監督自身の淡い初恋の思い出が基になっているらしい。2作目は「自由の夢」。芸妓とその愛人である詩人の切ない恋。民国時代の古装姿のスーチーはもうめちゃくちゃ色っぽい。会話はすべてサイレント。それは監督自身の説明によると、古い時代独特の言葉を主演二人に完璧にしゃべらせるのはスケジュール的に難しかったためらしい。でもこれはなかなかいい効果だった。(「悲情城市」でトニーがしゃべらなかったのを思い出した)日本統治から自由になりたいという時代の熱を帯びた夢、遊郭の芸妓から自由な身になりたいという女の悲しい夢、全編通じて奏でられる琵琶の音色がとても気分を盛り上げた。私はこの2編目を見ただけでかなり満足。美しかった。眼福無勝。3作目は「青春の夢」。現代の台北の若者たちの退廃的な青春を描いている。まあ、コレはコレで若者は好きなのかな?私には別になくてもいいパートだったけど。
 3作ともいずれもホウ・シャオシェンらしい作品で、ある意味、彼の創作作風のオムニバス映画といえるかも。ホウ監督は最初、3本とも別の監督で撮影する企画で出資を募ったそうだが、それにはスポンサーがつかず、紆余曲折あって結局ホウ監督自身が3本とも手がけることになったそうだ。でも、多くのホウ監督信者はそのほうがかえってよかったのではないかな。完全版:候世界的時光でありました。


 鑑賞終って、東京国際フォーラムに隣接する11月11日にオープンしたばかりの東京ビルディングの1階の中華料理レストランで食事をしたのだが、ここは久し振りに行き当たった、イマイチ私の口に合わない中華を出す店だった。店の人の感じも悪くないし、外見やインテリアもなかなかすてきなのだけど。でも、注文した品物と違うものは出てくるわ、香草は全然匂わないわ、酸辣湯(サンラータン)もあんかけ焼きそばも全く同じケチャップ味のあま〜い食べ物。どうやら日本人シェフらしい。こういう味をお好きな人も多いのかもかもだけど、私はケチャップ味はオムライス以外わりと苦手なので。こんなことならB1のつるとんたんにでも行けばよかったと後悔しきり。