「靴に恋する人魚」

 ロビン・リー監督。ビビアン・スー、ダンカン・チョウ主演。
 アンディ・ラウの製作会社フォーカス・フィルムの作品だという情報以外なく見たのだが、最初、台湾の絵本作家、幾米の原作だと信じてみていた。物語自体のモチーフが絵本で、画面はお菓子の家的原色系で、登場人物はダンカン演じる歯医者さん以外ほぼ全員不思議キャラ+おたくキャラで、話の展開も夢の国のおとぎ話のように進んでいく。このまま、不思議キャラのラブラブおままごとの生活を見せられるのか〜と、かわいいお話に飽きてきた頃、中盤でいきなりガラッと主人公ドードーの身辺に変化が起こり、物語の展開にスパイスが加わる。それまでオンリーピンクだった世界が急にブルーになる。でも、ビビアンのかわいらしさのせいか映画のイメージに大きな変化はない。後半は結構物語に引き込まれて、夢のおとぎの世界から下界行きのジェットに乗らされて、どんどん急降下していき、うわ、どこまで行っちゃうの、心配〜、と思った頃、いい感じで、ジェットの機首が上を向いて、上昇気流に乗りまた幸せ気分に戻ってこれた。そして、おとぎ話には教訓がつきもの。努力なしには幸せは得られない、とかわいい主人公は少し学んで、幸せになったとさ。
 そんな映画なのですが、結局、ロビン・リー監督のオリジナルのようです。ロビンさん、若い女性です。すごい自信ありそうで、できる女っぽかったです。美術やCG映像の演出も大変うまかったです。キャストのビビスーはもうこの人しかいない、と思ってたみたい。ビビスー本人も今まで自分にぴったりの映画の役はないと実感していたみたいで二つ返事で出演快諾だったらしい。ダンカンはビビスーの紹介だったそうだけど、優しいだんな様の役をけなげに演じていてかわいかった。暗い映画に比べたら、ずっとよかったです。
 ちなみに監督のティーチインでの話によると、アンディが出資してくれたにもかかわらず、ものすごく低予算で製作しなければならなかったそうで、出てくるかわいい靴の装飾のほとんどはスタッフの手作りだとか。どうりで手作りの暖かさがそこここに出ていた。アンディ・ラウがナレーションというのはちょっと嬉しい驚きでした。