「老天作弄」梁家輝のエッセイより

fai22005-01-31

家輝さまの30日の文匯報のエッセイです。
いろいろな事象をいつも冷静かつ理論的に解釈してくださいますので、アホな私もなるほど〜と得心いたしました。わが殿ながら、本当に賢い方ですなあ・・・うっとり。

<老天作弄>

 皆さんも似たような経験をしたことがあると思う。浴槽にお湯をいっぱい満たし、さあ、入浴しようと思ったところへ、ちょうど速達を届けるチャイムの音、家にはほかに誰もいない。

ホテルに泊まっているならば、入浴する前に扉のノブに「請勿騒擾」の標示を掛けておけばよいのだが、しかし今回鳴り響いたのは電話のベルで、自分の携帯番号を知っている人はわずかなので、狼狽しながら電話に出てみると、相手は間違い電話ではなく無作為に発信するコンピュータの調査である。

 もしこのような場面があまりに戯劇的と言うならば、日常生活に関してちょっと話してみよう。毎回外出時エレベーターに乗ろうとすると、いつもちょうど階下にあって必ず先に下に下り、また上がって行くのを待ち、それからやっと下りてきたエレベーターに乗る事になる。また、家に帰る時は情況がその反対になる。
 私の友人のWはいつも苦情を訴える。彼がエレベーターに乗ろうとする時、きまって彼の携帯電話が鳴り始め、そのまま乗れば電話は必然的に切れ、結局いつも後でメッセージを聞かなければならない。

 これは神様が私たちをからかっているのだろうか?実はこれには原因があるのだ。多くの人は毎日入浴する。しかし毎日速達が届いたり、電話がかかってくるわけではない。私たちは慣れっこになっている事には少しも印象がないのに対して、ばつが悪い場面の印象はとても深いだけのことなのだ。同じ理由から、私たちは入り口を出てすぐエレベーターが来ている時のことは忘れやすく、いらいらしてエレベーターを待っている時の経験だけを覚えている。

 話をまた戻して、もしビルの高さが30階だとしたら、エレベーターがちょうどあなたの待つ階で停まっている確率は30分の1で、まだ来ていない確率は30分の29である。冷静に考えてみると「神様が弄んでいる」においても泰然と構えていればいい。

 またひとつこんな説法もある。出勤する日はいつも晴れているのに、週末になると天気はいつも悪くなる。ある人が天気記録をめくって調べると、確かに休日は出勤する日に比べて曇り空を見ることが多いという。

最近環境学者がそれについての解釈を発表したところによると、月曜日から金曜日までに交通や工業等で排気ガスが生み出され、それが何日か累積して空天を覆い隠し、週末の気温を下がらせる。気温が下がると天気が悪くなるのを招く。要するにこれは人類の自業自得で、神様が私たちをからかっているわけではない。