『息もできない』

fai22010-04-28

友人からずっと薦められていて早く見たかった映画『息もできない』をKBCシネマで鑑賞。
実は前夜に遠来の旧友があり、ちょっと羽目をはずして飲み歩いてしまい少々二日酔いが残っていたのだが、どうしても早く見たかったのでわざわざ雨の中映画館に出かけて行ったのだが・・・。
その価値、まったくアリ!!
二日酔いも吹っ飛ぶ勢いで、ヤン・イクチュンにやられた!

フィルメックスのときに映画紹介で見たあの暴力的でスネた表情の男が、製作・監督・脚本・編集・主演。ストーリーは息もできないをご参考に。

ここでは感想のみにするけど、映画内容は本当に切実で引き込まれる話で、このところヌルい映画ばかり見ていたを私には、なんともいえないハードな見させ感アリ。断ち切れない家族というしがらみの中で、深い傷を負った二人の邂逅。偶然という必然で二人は惹かれあう。そして、漢江のシーンでは二人の心の中が痛く切なくて、見ていたこっちまで泣けてしまった。
教育も乏しい粗野な男、暴力と汚い言葉だけが生きていくための唯一の手段。それでも、同じ魂を持つ高校生の女の子と出会い、言葉で語り合うわけではないが、二人の間には同情とも友情とも愛ともとれる温かいものが通い合う。もやもやした気持ちの中から、男がほんの一筋の光のような幸せを求めた時、暴力は違った形で彼の前に姿を現す。でも、彼はもはやもがかない。ラストの表情は残酷だけど印象的。静かに彼の大切な人たちの幸福も描かれ、見終わったあと、意外に悲惨さは残らない。
とにかく、ヌルく生きている自分をちょっと反省、身も心もギュッと引き締まるような作品だった。