『アマルフィ 女神の報酬』

fai22009-07-19

  前に何かの映画を見たときに流れていた予告編の画像とタイトルの美しさに負けて、ほぼ公開同時に見に行った。キャナルシティ博多で見たのだが、連休とあってものすごい人。チケットを買うだけで長蛇の列。上映会場も満員だった。
  映画は、真保裕一氏の原作だから、基本サスペンス。イタリアに旅した母子の娘が誘拐され、その事件にイタリアの日本大使館へ書記官として赴任してきた外交官、黒田(織田裕二)が巻き込まれ、少女の母役の天海や、大使館の研修生、安達(戸田恵梨香)らと事件の真相を追っていく物語。登場人物はほかに佐藤浩市平田満、大使館職員に大塚寧々、伊藤淳史小野寺昭佐野史郎ら。
  なにしろ、全編イタリアロケの景色や建築物が素晴らしい。そして、サラ・ブライトマンの美しい歌声。これだけでも映画館へ見に行く価値はあり。映画は総合芸術だから、これだけで十分ポイント高い。内容は、やはり異国へ来た少女の誘拐という痛切な事件が軸なので、かなり緊張感もあり、見ていて飽きささない。登場人物たちもそれぞれに熱演。しかし、オール海外ロケがたたってか、登場人物が少ないため、事件の真相に関係していそうな人物の割り出しが、観客にもわりと早くわかりやすい。一応、何段かの仕掛けもあるのだが、どんでん返しというほどの大仕掛けではない。事件の首謀者の動機も、最近この手の(テレビ局が作ったりする)大作やドラマに似たような設定がありがちで、ちょっとパターン化してきた感あり。織田裕二の新キャラは、ただの外交官にしては、まるで特殊機関か国際警察の切れ者みたいな勢いでかっこよすぎるのだけど、まあ、あれもいいかもしれない。織田裕二は基本ヒーロー役の人だから(笑)。映画興行成績がよろしければ、外交官、黒田の今後の活躍がまた見られるかもしれない。でも、毎回海外オールロケとなると大変だろうから、テレビドラマ化は無理だろうなあ。2年に一度くらい黒田の赴任地で起こる事件とか?そうなると、織田裕二も一生もののキャラクターを得るわけだが。織田の上司役で、電話の声でしか登場はないが、中井貴一の存在感はやはりすごい。この人の鶴の一声で外交官黒田はまた世界中へ飛ぶのかな。次回は南米もいいけど、ぜひ香港あたりでも活躍してほしい。あ、でも、世界遺産があるところがいいか(笑)

  余談ですが、この映画には西谷弘監督の前作『容疑者Xの献身』の主役だった福山雅治も特別出演しています。彼の登場シーンはわずか数か所。ところが、私が映画を見ていた時、映画が始まって5分くらいすぎたシーンに福山さんが登場したとたん、いきなり、私の座席の前におばさんが立ちふさがって、「そこあいてますか?」と話しかけてきた。上映中なので、静かにうなづいたら、また大きな声で聞かれて、あげくに人の前を堂々と通過する無神経さ。おかげで、ハッと気がついた時にはもう福山さんは人ごみの中に消えていた…・ぐわぁあ、超迷惑。私もまだまだ人間が出来ていないので、ちょっとむかむかして、映画終わったら文句の一つもたれたいくらいだったのだけど、そのおばさん、いちいちローマの街やアマルフィーの景色に感嘆していたようで、しまいにはイタリアの風景への感動にむせび泣いている(!)気配だったので、まあ、せっかくの感動に水を差すのは気の毒なので、映画開始時のオイタは水に流してあげました。そういえば、『おくりびと』を見に行った時もなんだかマナーが悪いというか、無神経な人がいて、ゲンナリなことがあった。やはり、映画はあまりメジャーなものでなくて、映画館で座った席の周りに誰も人がいないくらいのほうが、見やすいし、私的にはどっぷり入り込めるなあ・・・。