『鏡の法則』

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4893469622/250-0866306-9300225?v=glance&n=465392

「読んだ人の9割が涙した!
インターネットで爆発的にひろがっている、愛と感動の真実のストーリー」
という売り文句と、実際けっこう売り上げている本みたいだったので、買って読んでみた。『もし世界が100人の村だったら』くらいの分量なので、あっという間に読めた。内容は、まあ、一箇所、ジーンとくる部分はあったが、号泣なんてことはなかった。『一杯のかけそば』みたいなかんじかな?(笑)せっかく1000円も出して買ったので、職場の人に回し読んでもらって「泣けたかどうか教えて」とその割合を確認したところ、「一箇所確かにちょっと来るところがあったね」という人と、「これじゃあ泣けない。こういう体験も結構リアルであったけど・・・」という人がフィフティー・フィフテイー。

 で、思ったんだけど、こういうのは構えて読んじゃあ駄目って事ですね。現に私は実は何気なく読む朝の『天声人語』でも、ぐぐっときて涙することもあるくらいけっこう簡単に感動できる体質なのですが、映画とかドラマの闘病ものや家族愛もので、いかにも〜な話には、素直な気持ちで見られない傾向がある。現実はそんなきれいなものじゃないよ、とか思っちゃったりして。『鏡の法則』を読んだ職場の人もそれぞれ環境や人生における体験も違うのだから、思うところがそれぞれ違うのは当たり前。世の中の人それぞれに種々の感動のツボやレベルの差がある。

 黒柳徹子さんは、よく色々な人との対談でぐぐっときて泣くことがある。世界中でチャリテー活動をしているときも懸命な姿でよく涙を見せている。以前五木寛之が彼女と対談した時、「僕はあなたの本(トットちゃん)を読んで、世の中にはなんて幸せな人がいるのだろうと思って嫉妬を覚えましたよ」「僕の少年時代の思い出には暗い部分がありました。人間もずいぶんすれてしまうと、少々のことでは涙も出ないし、感動しなくなります」みたいなことを言っていた。あの五木さんの言葉がずっと心に残って忘れられない。