『同じ月を見ている』

 深作健太監督最新作『同じ月を見ている』を見た。いろいろな意味で左胸の臓の腑を羽交い絞めにされた感じ。
 物語自体はシンプルなうえ、伏線が分かりやすいので展開は想定内。それでもグイグイと来た。まずキャスティンがよかった。企画は窪塚洋介の復活作品として立ち上がったのだろうが、窪塚が水代元(通称ドン)を演じるのではなく、熊川鉄矢を演じたのは正解だった。真面目で努力家だが、内面の自分と葛藤する難しい役どころ。窪塚洋介は見事に銀幕に復活した。
 ドンを演じたエディソン・チャンもエミ役の黒木メイサも新鮮でとてもよかった。エディソンが車の中から振り返って鉄矢を見るまなざしはインファナル・アフェアさながら。全編日本語なので、ネイティブでない彼はどうなんだろうと思っていたが、セリフは少なく、またそれによって彼の不幸な生い立ちや特別な能力や純粋さが引き立った。ドンが寺で、抑えていた負の感情を爆発させて全身で絵を描く演出はとても印象が強かった。
 主要登場人物はそれほど多くないが、山本太郎松尾スズキ岸田今日子も持ち味を生かして脇をしっかり固めていた。3人の友情OR愛情、涙なしでは見られない青春の佳作だ。
 ひとつだけ、文句をつけるとすれば、あまりにもリアルな臓器の映像が頻繁に映し出されたのには、私はちょっと息苦しすぎて眼を閉じてしまった。


 今日は映画は7時20分からの上映で、6時20分から六本木ヒルズのアリーナで出演者によるトークイベントがあった。しかし私は、仕事のあと六本木に行ったので、空腹を我慢しきれず、先に麻布十番商店街入口の海南鶏飯食堂海南鶏飯を食べた。鶏肉がやわらかく、ジャスミンライスも美味しかった。前々から気になりながらなかなか行く機会がなかったので、超満足だった。恵比寿にも新しい店舗ができたそうです。
海南鶏飯食堂 HAINAN JEEFAN SHOKUDO | 海南鶏飯食堂 HAINAN JEEFAN SHOKUDO シンガポールチキンライス